夜に咳が止まらないときはどうすればよい?

咳の原因・治療・検査についてわかりやすく解説

「風邪は治ったのに咳だけが続く」「夜になると咳がひどくなって眠れない」
「横になると咳き込んでしまう」「明け方に咳で目が覚める」「市販薬を飲んでもなかなか改善しない」
──このような症状でお困りではありませんか。

夜間の咳は睡眠を妨げるだけでなく、日中の眠気や集中力の低下、疲労感にもつながり、
生活の質(QOL)を大きく低下させることがあります。また、ご家族の睡眠にも影響を与えてしまうことがあります。

こんな症状が続いたら、本当にしんどいですよね。

咳は、気道に入った異物や細菌・ウイルス、痰などを体の外へ排出するための大切な防御反応です。
しかし、咳が長く続く場合や夜間に悪化する場合は、風邪以外の病気が隠れている可能性があります。

一般的に、咳は続く期間によって「3週間未満の急性咳嗽」「3~8週間の遷延性咳嗽」「8週間以上続く慢性咳嗽」に分類されます。
特に8週間以上続く咳や、夜間から明け方にかけて悪化する咳では、原因を調べて適切な治療を行うことが重要です。

夜間に咳が悪化する原因としては、横になることで鼻水や胃酸がのどへ流れやすくなることや、副交感神経が優位になることで気道が狭くなりやすいこと、寝室の乾燥やダニ・ハウスダストなどのアレルゲンの影響を受けやすいことなどが考えられます。

今回は、夜に咳が止まらなくなる原因や治療法、当院で行っている検査についてわかりやすくご紹介します。

夜に咳が止まらない主な原因

1.咳喘息

夜間の咳で最も多い原因の一つが咳喘息です。
一般的な喘息のような「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴(ぜんめい)は目立たず、咳だけが長期間続くことが特徴です。

特に、

  • 夜中から明け方に咳が止まらない
  • 横になると咳き込む
  • 季節の変わり目に悪化する
  • 運動後に咳が続く
  • 冷たい空気を吸うと咳が出る
  • 会話中や笑ったあとに咳が出る

このような症状がある方は咳喘息の可能性があります。

咳喘息は、気道に慢性的な炎症が起こり、気道が刺激に敏感になることで咳が出やすくなる病気です。
適切な治療を行わずに放置すると、一部の方では典型的な気管支喘息へ移行することがあるため、早めの診断・治療が重要です。

2.気管支喘息

気管支喘息は、気道に慢性的な炎症が起こり、空気の通り道が狭くなる病気です。

咳だけではなく、

  • 息苦しい
  • 胸が締め付けられる感じがする
  • ゼーゼー、ヒューヒューする
  • 夜中や早朝に症状が悪化する

などの症状を伴うことがあります。

喘息では夜間から明け方に症状が悪化しやすいことが知られており、「夜だけ咳が止まらない」という方も少なくありません。
吸入ステロイド薬を中心とした継続的な治療によって、気道の炎症を抑え、発作や咳を予防していきます。

3.感染後咳嗽(かんせんごがいそう)

風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などが治ったあとも、咳だけが数週間続くことがあります。
これは感染後咳嗽(かんせんごがいそう)と呼ばれ、感染によって傷ついた気道が刺激に敏感になっている状態です。

特に夜間や早朝は気道が刺激を受けやすいため、昼間は落ち着いていても夜になると咳が続くことがあります。
多くは自然に改善しますが、8週間以上続く場合や悪化する場合には、咳喘息など他の病気との区別が必要になります。

4.アトピー咳嗽

アトピー咳嗽は、アレルギー体質の方にみられやすい慢性的な咳の病気です。
喘息とは異なり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴や息苦しさはなく、乾いた咳(乾性咳嗽)が長く続くことが特徴です。

  • のどがイガイガする
  • のどのかゆみや違和感がある
  • 会話や冷たい空気で咳が誘発される
  • 夜間から明け方に咳が出やすい
  • 花粉やハウスダストなどのアレルゲンで悪化する

といった症状がみられることがあります。

アトピー咳嗽では、気道ではなく主にのど(喉頭や咽頭)の咳受容体が敏感になっていると考えられています。そのため、喘息で有効な気管支拡張薬は効果が乏しい一方で、抗アレルギー薬や吸入ステロイド薬などによる治療で改善が期待できます。
咳喘息との区別が難しいこともあるため、呼吸器内科で適切な診断を受けることが大切です。

5.COPD(慢性閉塞性肺疾患)

長年喫煙されている方では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が原因となっていることがあります。
COPDは、たばこの煙などによって気道や肺に慢性的な炎症が起こり、空気の通り道が狭くなる病気です。
初期には「年齢のせい」「体力が落ちたから」と思われがちですが、病気が進行すると日常生活にも大きな影響を及ぼします。

代表的な症状には、

  • 咳や痰が続く
  • 階段や坂道で息切れしやすい
  • 風邪をひくと咳や痰が悪化する
  • 以前より運動がつらくなった

などがあります。

早期に発見し、禁煙や適切な治療を開始することで、病気の進行を抑え、生活の質(QOL)の維持につながります。

夜に咳が止まらないときの治療

咳の治療では、一時的に咳を抑えるだけではなく、原因となっている病気を見つけて適切に治療することが重要です。

夜間の咳は、咳喘息や気管支喘息、感染後咳嗽、COPDなどが原因となっていることがあり、それぞれ治療方法が異なります。

咳喘息・気管支喘息

咳喘息や気管支喘息では、気道の慢性的な炎症を抑えることが治療の基本です。

主に吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を使用し、炎症を改善することで咳をコントロールします。

症状が軽くなっても自己判断で治療を中断すると再び咳が悪化することがあるため、医師の指示に従って継続することが大切です。

感染後咳嗽

感染後咳嗽では、炎症が自然に落ち着くまで経過をみながら、必要に応じて咳止めや去痰薬などを使用します。

咳が長引く場合は、咳喘息など別の病気が隠れていないかを確認することも重要です。

アトピー咳嗽

アトピー咳嗽では、抗ヒスタミン薬などの抗アレルギー薬や、必要に応じて吸入ステロイド薬を使用します。
原因となるアレルゲンへの対策も重要です。

咳喘息と症状が似ていますが、治療法が異なることもあるため、適切な診断を受け、それぞれの病態に応じた治療を行うことが重要です。 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

COPDでは、気管支拡張薬を中心とした吸入治療を行います。

また、禁煙は最も重要な治療の一つです。症状や肺機能に応じて治療内容を調整し、増悪(症状の悪化)を予防していきます。
咳止めだけでは十分な改善が得られないことも多いため、原因を正しく診断したうえで、一人ひとりに適した治療を行うことが大切です。

当院で行える検査

当院では、咳の原因を正確に診断するため、問診や診察に加え、症状に応じてさまざまな検査を行っています。

胸部レントゲン検査

肺炎、肺結核、肺がんなど、肺や気管支に異常がないかを確認する基本的な検査です。

長引く咳では、重篤な病気が隠れていないかを確認するためにも重要な検査です。

肺機能検査(スパイロメトリー)

息を大きく吸ったり吐いたりして、肺活量や空気の流れを測定する検査です。

喘息やCOPDの診断だけでなく、病気の重症度や治療効果の評価にも役立ちます。

呼気NO検査

吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測定し、気道にアレルギー性(好酸球性)の炎症があるかを調べます。

咳喘息や気管支喘息の診断や、吸入ステロイド治療が有効かどうかを判断する際にも役立つ検査です。

短時間で行うことができ、痛みもありません。

モストグラフ

自然な呼吸を数十秒続けるだけで、気道の抵抗や肺の状態を調べる検査です。

大きく息を吸ったり吐いたりする必要がないため、ご高齢の方や肺機能検査が難しい方でも受けやすいことが特徴です。

喘息やCOPDの評価、治療前後の変化の確認にも活用されています。

アレルギー検査

血液検査により、ダニやハウスダスト、花粉などのアレルゲンを調べることができます。

アレルギーが咳の悪化に関係している場合は、原因を把握することで、治療方針の決定や生活環境の改善につながります。

アトピー咳嗽が疑われる場合にも、アレルギー体質の有無を確認するために役立ちます。他の慢性咳嗽との鑑別にも有用です。

受診の目安

次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。

  • 咳が3週間以上続いている
  • 夜になると咳がひどくなり、眠れない日が続いている
  • 明け方に咳で目が覚めることがある
  • 横になると咳き込みやすい
  • 息苦しさやゼーゼー、ヒューヒューする症状がある
  • 痰が増えてきた、または血痰が出る
  • 発熱や体重減少を伴う
  • 市販薬を服用しても改善しない
  • 喫煙歴があり、咳や息切れが続いている

長引く咳の背景には、咳喘息や気管支喘息、COPDだけでなく、肺炎や肺結核、まれに肺がんなどの病気が隠れていることもあります。

「そのうち治るだろう」と様子を見ている間に症状が悪化することもあるため、咳が長引く場合は原因を調べることが大切です。

夜に咳が止まらないときに自宅でできる対策

夜間の咳を和らげるためには、治療とあわせて生活環境を整えることも大切です。

次のような対策を試してみましょう。

  • 水分をこまめに摂り、のどや気道の乾燥を防ぐ
  • 加湿器などを利用し、室内の湿度を適切に保つ
  • 就寝前の喫煙は避ける
  • 寝室を清潔に保ち、ダニやハウスダストを減らす
  • 咳が強いときは、上半身を少し高くして休む

これらは咳を和らげるための対策ですが、症状が続く場合は自己判断せず、原因を調べることが重要です。

よくある質問

Q. 夜だけ咳が出るのはなぜですか?

夜は副交感神経が優位になることで気道が狭くなりやすく、咳喘息や気管支喘息では症状が悪化しやすくなります。また、寝室の乾燥やダニ・ハウスダストなどの影響を受けることもあります。

Q. 咳だけでも受診したほうがよいですか?

はい。咳が3週間以上続く場合や、夜間の咳で眠れない日が続く場合は、一度原因を調べることをおすすめします。

Q. レントゲンで異常がなければ安心ですか?

胸部レントゲンで肺炎や肺がんなどの異常がなくても、咳喘息や気管支喘息、COPDの初期では異常が写らないことがあります。

そのため、必要に応じて肺機能検査や呼気NO検査、モストグラフなどを組み合わせて総合的に診断します。

Q. 咳止めだけで治りますか?

咳止めは症状を一時的に和らげることがありますが、原因そのものを治療する薬ではありません。

咳喘息や気管支喘息などでは、原因に応じた治療を行うことで症状の改善が期待できます。

まとめ

夜に咳が止まらない症状は、単なる風邪の治りかけではなく、肺炎などの感染症、咳喘息、気管支喘息、アトピー咳嗽、感染後咳嗽、COPDなどが原因となっていることがあります。

特に、夜間や明け方に咳が悪化する、咳で眠れない日が続く、市販薬を服用しても改善しないといった場合は、早めに原因を調べることが大切です。

当院では、胸部レントゲン検査、肺機能検査(スパイロメトリー)、呼気NO検査、モストグラフ、アレルギー検査などを組み合わせ、咳の原因を詳しく調べ、一人ひとりの症状に合わせた治療をご提案しています。

「夜になると咳が止まらない」「咳が長引いて仕事や日常生活に支障が出ている」「咳の原因を詳しく調べたい」という方は、お気軽に当院までご相談ください。

早期に原因を見つけ、適切な治療を行うことが、症状の改善や再発予防につながります。

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