がん治療
がん治療は、手術、放射線治療、抗がん剤治療を柱として行われますが入院施設のある病院での治療が一般的です。ただ、自宅から離れていたり、忙しそうにしておりゆっくり相談できないこともあるようです。
認知症は高齢化に伴って患者数が増加しており、「少しでも発症リスクを下げたい」と考える方も多いのではないでしょうか。
認知症予防というと、運動や食事、睡眠などの生活習慣が注目されがちですが、近年では肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンなどの感染症予防ワクチンが、認知症の発症リスク低下と関連する可能性を示した研究が報告されています。
結論から言えば、現時点で「肺炎球菌ワクチンを接種すれば認知症を予防できる」と証明されたわけではありません。
しかし、感染症を防ぐことが脳の健康維持につながる可能性があり、興味深い研究結果が蓄積されつつあります。

肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンです。
肺炎球菌は、高齢者では肺炎の代表的な原因菌の一つであり、重症化すると入院や命に関わることもあります。また、菌血症や髄膜炎など重篤な感染症を引き起こすこともあります。
日本では、65歳以上の方などを対象に定期接種が行われており、高齢者の重症感染症予防に重要な役割を果たしています。
2024年に発表された日本の前向きコホート研究(JAGES 2013–2022)では、地域在住高齢者を長期間追跡し、肺炎球菌ワクチン接種と認知症発症との関係が調べられました。
その結果、肺炎球菌ワクチンを接種していた人は、接種していなかった人と比較して認知症を発症するリスクが約23%低いことが報告されました。
日本人を対象とした大規模研究でこのような結果が示されたことから、肺炎球菌ワクチンと認知症の関係は現在注目されているテーマの一つとなっています。
海外では、インフルエンザワクチンについても認知症との関連が研究されています。
米国の大規模研究では、65歳以上でインフルエンザワクチンを接種した人は、未接種者と比べてアルツハイマー病の発症リスクが低かったことが報告されています。
さらに、複数の研究をまとめて解析したシステマティックレビュー・メタアナリシスでも、インフルエンザワクチン接種者では認知症リスクが低い傾向が示されました。
一方、日本のJAGES研究では、インフルエンザワクチン単独では認知症発症との有意な関連は認められませんでした。
このように研究結果には違いがあり、現時点では「インフルエンザワクチンに認知症予防効果がある」と結論づけるには、さらなる研究が必要です。

肺炎やインフルエンザなどの感染症では、全身で強い炎症反応が起こります。
最近では、慢性的な炎症や脳内の炎症(神経炎症)がアルツハイマー病などの認知症の発症や進行に関与している可能性が指摘されています。
ワクチンによって感染症を予防することで、こうした炎症の影響を減らし、脳への負担を軽減できる可能性があります。
高齢者では、肺炎による入院をきっかけに身体機能が大きく低下することがあります。
こうした変化はフレイル(虚弱)につながり、結果として認知機能の低下を招く可能性があります。
また、入院中に起こる「せん妄(一時的な意識障害)」は、その後の認知機能低下と関連することも知られています。
肺炎球菌ワクチンによって重症感染症を予防することは、このような悪循環を防ぐことにつながる可能性があります。
ワクチン接種者は、健康診断や定期受診を受け、運動や食事にも気を配っている傾向があります。
そのため、認知症リスクの低下がワクチンそのものによるものではなく、健康的な生活習慣全体を反映している可能性も考えられます。
この点を考慮すると、今回の研究結果は「関連」を示したものであり、「原因」を証明したものではありません。
近年では、帯状疱疹ワクチンと認知症リスク低下との関連を示す研究も報告されています。
感染症予防ワクチンが免疫や炎症を介して脳の健康に影響を与える可能性が注目されていますが、どのワクチンがどの程度認知症予防に寄与するのかについては、まだ研究段階です。
今後さらに質の高い臨床研究が行われることで、より明確な結論が得られると期待されています。
認知症予防には、一つの方法だけで十分ということはありません。
現在、効果が期待されているのは、
などを組み合わせた総合的な健康管理です。
ワクチン接種も、その一環として考えるのが適切でしょう。

現時点では、そのように証明されていません。ただし、一部の研究では接種者で認知症発症リスクが低い傾向が報告されており、今後の研究が期待されています。
肺炎球菌ワクチンの本来の目的は、肺炎などの重症感染症を予防することです。まずは感染症予防の観点から接種を検討することが大切です。
海外では認知症リスク低下を示した研究がありますが、日本の研究では明確な関連が認められないものもあります。現時点では結論は出ていません。
近年の研究では、肺炎球菌ワクチンを接種した高齢者で認知症発症リスクが低い可能性が報告されています。
ただし、これらは観察研究であり、「ワクチンが認知症を予防する」と証明されたわけではありません。
一方で、肺炎などの重症感染症を防ぐことは、身体機能や日常生活動作(ADL)の維持、フレイル予防、健康寿命の延伸につながる重要な取り組みです。その結果として、認知機能の維持にも良い影響を与える可能性があります。
認知症予防のためには、ワクチン接種だけに頼るのではなく、運動・食事・睡眠・生活習慣病の管理などを含めた総合的な健康づくりが大切です。
当院では、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンに関するご相談も受け付けています。
接種対象や接種時期について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
・『Brain, Behavior, and Immunity』掲載論文より
「Pneumococcal vaccination, but not influenza vaccination, is negatively associated with incident dementia among Japanese older adults: The JAGES 2013–2022 prospective cohort study」
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0889159124004604
・新潟大学 研究成果より
「肺炎球菌ワクチンを接種している高齢者では認知症が2割以上少ない」
https://www.niigata-u.ac.jp/news/2024/675634/
・『Age and Ageing』掲載論文より
「Influenza vaccination and risk of dementia: a systematic review and meta-analysis」
https://academic.oup.com/ageing/article-abstract/54/7/afaf169/8182144
・『Journal of Alzheimer’s Disease』掲載論文より
「Risk of Alzheimer’s Disease Following Influenza Vaccination: A Claims-Based Cohort Study Using Propensity Score Matching」
https://journals.sagepub.com/doi/10.3233/JAD-220361
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