がん治療
がん治療は、手術、放射線治療、抗がん剤治療を柱として行われますが入院施設のある病院での治療が一般的です。ただ、自宅から離れていたり、忙しそうにしておりゆっくり相談できないこともあるようです。

「睡眠薬を飲むと転倒しやすくなると聞いたことがある」
「高齢の家族が睡眠薬を飲んでいるので心配」
このような不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
不眠症は、日中の眠気や集中力の低下、気分の変化などにつながり、生活の質(QOL)にも大きな影響を与えます。
そのため、症状に応じた適切な治療を行うことが大切です。
一方で、睡眠導入薬(睡眠薬)の中には、眠気やふらつきなどによって転倒リスクを高める可能性がある薬もあります。
特に高齢者では、転倒をきっかけに骨折や入院、身体機能の低下につながることもあるため注意が必要です。
近年の日本の研究では、睡眠薬の種類によって「転倒との関連がみられる時間帯が異なる可能性」が報告されました。
今回は、睡眠導入薬と転倒リスクについて、最新の研究結果をもとにわかりやすく解説します。
睡眠導入薬には、脳の働きに作用して眠りを促す働きがあります。
しかし、薬の作用が強く出たり、翌朝まで作用が残ったりすると、
などが起こることがあります。
こうした状態で夜間にトイレへ行ったり、起床直後に歩いたりすると、転倒につながる可能性があります。
特に高齢者では、加齢に伴って薬を体内で処理する能力が変化することがあります。
また、複数の薬を服用している方も多く、薬同士の影響によって眠気やふらつきが強くなる場合もあります。
そのため、高齢者の睡眠薬治療では「眠れるかどうか」だけでなく、「翌朝まで作用が残っていないか」「ふらつきがないか」といった安全性の確認も重要です。
2025年に『Psychiatry & Clinical Neurosciences』に掲載された日本の研究では、22,458人の入院患者を対象に、睡眠薬の使用と転倒との関係が調査されました。
この研究で注目されたのが、睡眠薬の種類によって転倒との関連がみられる時間帯に違いがあったという点です。
ただし、この研究は入院患者を対象とした観察研究です。
そのため、一般の外来患者や自宅で生活している方にも同じ結果がそのまま当てはまるとは限りません。
その点を踏まえたうえで、研究結果を見ていきましょう。
Z薬とは、ベンゾジアゼピン系とは異なる構造を持ちながら、脳のGABA受容体に作用して睡眠を促す薬です。
代表的な薬には、
などがあります。
今回の研究では、Z薬の使用は18時から23時59分までの時間帯における転倒との関連が報告されました。
ただし、「Z薬を飲むと必ず夜に転倒する」という意味ではありません。
薬の服用時間や患者さんの状態、入院中の生活環境など、さまざまな要因が結果に影響している可能性があります。
重要なのは、睡眠薬の作用と転倒のタイミングには一定の関連がある可能性が示されたという点です。
短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬には、
などがあります。
今回の研究では、これらの薬の使用は深夜0時から5時59分までの転倒との関連が認められました。
睡眠薬を服用した後、夜中にトイレへ行くために起きることは珍しくありません。
しかし、薬の作用が続いている時間帯では、眠気やふらつき、注意力の低下などが残っている可能性があります。
特に夜間は室内が暗く、足元の障害物にも気付きにくいため、転倒リスクが重なる可能性があります。
長時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬には、
などがあります。
これらの薬は比較的作用時間が長く、翌朝まで薬の影響が残ることがあります。
今回の研究では、長時間作用型ベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用は、朝6時から11時59分までの転倒との関連が報告されました。
「朝起きても頭がぼんやりする」
「起床直後にふらつく」
「午前中まで眠気が残る」
といった症状がある場合には、薬の持ち越し効果が関係している可能性があります。
このような症状が続く場合は、自己判断で薬を中止するのではなく、処方している医師に相談しましょう。
今回の研究では、
については、解析上、転倒リスク増加との有意な関連は認められませんでした。
ただし、これは「これらの薬なら絶対に転倒しない」「高齢者でも完全に安全」という意味ではありません。
睡眠薬の影響は、
などによって異なります。
研究結果だけをもとに「この薬なら安全」と判断するのではなく、一人ひとりの状態に合わせて薬を選択することが重要です。

高齢者では、転倒そのものがその後の健康状態に大きな影響を与えることがあります。
転倒によって大腿骨近位部骨折などを起こすと、入院や手術が必要となり、長期間身体を動かせなくなる場合があります。
その結果、
などにつながる可能性があります。
長期介護施設の高齢者605人を対象とした研究では、不眠症のある人では転倒リスクが高く、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用は転倒による負傷との関連が報告されています。
つまり、重要なのは「睡眠薬だけが問題」ということではありません。
眠れない状態そのものと、睡眠薬による影響の両方を考えて治療する必要があります。
「転倒が怖いから睡眠薬をやめよう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、自己判断で睡眠薬を急に中止することはおすすめできません。
特にベンゾジアゼピン系睡眠薬を継続して服用している場合、急な中止によって、
などが起こることがあります。
また、不眠による日中の眠気や注意力低下が転倒につながる可能性もあります。
そのため、睡眠薬を減らしたい場合は、医師と相談しながら、
といった方法を検討することが大切です。
睡眠薬を服用している場合は、薬の見直しだけでなく、生活環境を整えることも重要です。
例えば、
といった対策があります。
特に「夜中に何度もトイレに行く」「最近ふらつくようになった」「朝まで眠気が残る」という方は、
一度薬の内容を確認することをおすすめします。

不眠症の治療では、薬物療法だけでなく、睡眠習慣や生活リズムの見直しも重要です。
例えば、
などがあります。
また、慢性的な不眠症では、睡眠に対する考え方や行動を見直す「認知行動療法(CBT-I)」が治療選択肢となることもあります。
「眠れないから睡眠薬を増やす」という対応だけではなく、不眠の原因や生活習慣を含めて総合的に考えることが大切です。
いいえ。睡眠薬を服用しているすべての方が転倒するわけではありません。
ただし、高齢者や複数の薬を服用している方、過去に転倒したことがある方、歩行能力が低下している方では、より注意が必要です。
薬の種類によって転倒リスクとの関連に違いがある可能性はありますが、「新しい薬なら絶対に安全」というわけではありません。
年齢や持病、他の薬との飲み合わせなどを考慮して、患者さんごとに適した薬を選択することが重要です。
睡眠薬の作用が翌朝まで残っている可能性があります。
服用量や薬の種類、服用時間などを見直せる場合もありますので、処方している医師に相談してください。
自己判断で急に中止すると、不眠の悪化や離脱症状が起こることがあります。
減量や中止を希望する場合は、医師と相談しながら段階的に進めることが大切です。
睡眠導入薬は不眠症の治療に役立つ一方で、薬の種類によって転倒との関連がみられる時間帯が異なる可能性が、近年の研究で報告されています。
特に高齢者では、転倒が骨折や入院、身体機能の低下につながることがあるため、睡眠薬は「眠れるかどうか」だけでなく、「翌朝まで眠気が残っていないか」「ふらつきがないか」といった安全性も考慮して使用することが大切です。
一方で、不眠症そのものも日中の注意力や身体機能に影響する可能性があります。
そのため、「転倒が怖いから睡眠薬をすべて中止する」のではなく、現在の症状や年齢、持病、服用している薬などを確認しながら、適切な治療を選択することが重要です。
睡眠薬を服用していて、
「朝まで眠気が残る」
「最近ふらつくようになった」
「夜中に転びそうになった」
「今の睡眠薬を続けてよいのか不安」
という方は、一度医師に相談してみましょう。
当院では、不眠症の診療や睡眠導入薬の見直し、減量についてのご相談にも対応しています。
睡眠や睡眠薬について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
・『Psychiatry & Clinical Neurosciences』掲載論文より
Time-dependent risk of falls associated with hypnotic use in hospitalized patients
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pcn.70057
・『International Journal of Environmental Research and Public Health』掲載論文より
Insomnia, Benzodiazepine Use, and Falls among Residents in Long-term Care Facilities
https://www.mdpi.com/1660-4601/16/23/4623
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がん治療は、手術、放射線治療、抗がん剤治療を柱として行われますが入院施設のある病院での治療が一般的です。ただ、自宅から離れていたり、忙しそうにしておりゆっくり相談できないこともあるようです。