帯状疱疹は、過去に水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰にでも発症する可能性がある身近な病気です。

主な症状はピリピリとした痛みや水ぶくれで、初期のサインを見逃すと強い神経痛や長引く後遺症につながることもあります。

発症にはストレスや加齢による免疫力の低下が関係しており、近年では40〜50代での発症も増加傾向にあります。

この記事では、帯状疱疹の主な症状や治療法に加え、日常生活でできる予防策についてもわかりやすく解説します。

帯状疱疹とは？

帯状疱疹とは、水ぼうそうのウイルスが再活性化することで発症する皮膚の病気です。

一度水ぼうそうにかかったことがある人なら、誰にでも再発の可能性があります。

 

ウイルスは体内の神経節（神経の中継地点のような場所で、神経細胞が集まっている部分のこと）に潜伏し、加齢やストレス、疲労などで免疫力が低下したタイミングで活動を再開します。

発症すると、身体の片側に沿ってピリピリとした痛みがあらわれ、やがて水ぶくれが帯状に広がるのが特徴です。

 

いち早く症状に気づき適切な治療を受けることで、重症化や後遺症のリスクを軽減できます。

帯状疱疹の初期症状と痛みの特徴

帯状疱疹は、発疹が出る前から皮膚の違和感やピリピリとした痛み、かゆみなどの初期症状があらわれることがあります。

風邪のような熱っぽさやだるさを感じる人もおり、見逃されやすいため注意が必要です。

ここでは、発症のサインや痛みの出方の特徴について、詳しく解説していきます。

ピリピリ・チクチクとした痛みやかゆみ

帯状疱疹の初期症状では、皮膚にピリピリ・チクチクとした痛みやかゆみがあらわれます。

これはウイルスが神経を刺激することで生じるもので、神経痛のような不快感が特徴です。

 

はじめは虫刺されや筋肉痛と勘違いされやすく、気づきにくいこともあります。

症状が片側の体に集中してみられた場合は、帯状疱疹の可能性も考えられるため、早めの受診をおすすめします。

皮膚が赤くなる・腫れる

帯状疱疹では、神経に沿って皮膚が赤くなったり、軽く腫れたりすることがあります。

これはウイルスによる炎症反応の一つで、痛みやかゆみに続いてみられるケースが多いです。

体の右左どちらか一方に症状が集中し、帯状に広がるのが特徴とされています。

 

赤みや腫れが出た段階で気づければ、早期治療につながりやすく、症状の悪化を防ぐことにも役立ちます。

軽い発熱や体のだるさ

帯状疱疹の初期には、軽い発熱や体のだるさを感じることがあります。

これはウイルスが再活性化し、体内で炎症反応が起きているサインともいえます。

風邪のような症状と似ているため、気づかずに見過ごしてしまうケースも少なくありません。

皮膚の違和感と同時に、微熱や倦怠感が続くようなら、早めに医療機関を受診するのがおすすめです。

2～3日後に水ぶくれが出現

帯状疱疹ではピリピリとした痛みのあと、2〜3日ほどで水ぶくれがあらわれるのが特徴です。

ウイルスが神経に沿って皮膚へ広がり、炎症が進行することで発疹が出てきます。

水ぶくれは通常、胸や腹部、背中などの片側に帯状に並び、痛みをともなうことが多いです。

 

初期症状の段階で気づかない場合でも、水ぶくれが出た時点で受診すれば適切な治療につなげやすくなります。

帯状疱疹の治療法

帯状疱疹は、早期に治療を始めることで症状の悪化や後遺症を防ぎやすくなります。

放置すると神経にダメージが残り、帯状疱疹後神経痛などのつらい合併症につながることもあるため注意が必要です。

ここでは、主な治療法についてわかりやすくご紹介します。

抗ウイルス薬

帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬の服用が基本とされています。

ウイルスの増殖を抑えることで、症状の悪化を防ぎ、回復を早める効果が期待できます。

 

アシクロビルやバラシクロビルなどの内服薬が一般的で、発症から72時間以内に服用を始めるのが望ましいとされています。

早期に治療を開始することで、皮膚症状だけでなく神経痛などの後遺症リスクも軽減できます。

鎮痛剤

帯状疱疹の痛みをやわらげるために、鎮痛剤が併用されることがあります。

神経に炎症が起こることで強い痛みが出やすく、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

 

一般的にはロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの痛み止めが使われ、症状の程度によっては神経に作用する薬が処方されることもあります。

適切に痛みをコントロールすることで、心身の負担を軽減しながら治療を進めることができます。

外用薬

帯状疱疹の治療では、症状に応じて外用薬（塗り薬）が用いられることがあります。

皮膚に赤みやかゆみ、水ぶくれがあらわれた際、炎症やかゆみを抑えるために使われることが多いです。

ステロイドや抗ヒスタミン薬などが一般的で、皮膚の状態や症状の強さによって使い分けられます。

 

内服薬と併用することで、痛みの軽減や皮膚の回復をサポートする効果が期待できます。

重症例では入院治療が必要なことも

多くの場合は通院による治療で改善が見込めますが、重症化すると入院が必要になるケースもあります。

特に高齢者や免疫力が低下している方では、症状が急激に悪化したり、合併症を引き起こすことがあります。

 

目や顔まわりに発症した場合や、神経の深部にまで炎症が及んでいる場合には、点滴による抗ウイルス薬の投与や慎重な経過観察が求められます。

重症化を防ぐためにも、体調に違和感をおぼえたら、早めにかかりつけの医療機関に相談しましょう。

帯状疱疹はうつる？感染経路と注意点

 

帯状疱疹はうつるのか、どう感染するのか気になる方も多いでしょう。

ここでは、発症後の注意点や日常生活での対策について解説します。

病気そのものはうつらない

帯状疱疹は、人から人へ直接うつる病気ではありません。

 

原因となるウイルスは、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルスが体内に潜伏し、再び活性化することで発症します。

そのため、帯状疱疹を発症した人と接触しても、すでに水ぼうそうにかかったことがある人であれば感染の心配はほとんどありません。

ただし、水ぼうそうにかかったことのない人には感染する可能性があるため、注意が必要です。

基本的に空気感染や飛沫感染はしない

帯状疱疹は水ぼうそうと異なり、空気感染や飛沫感染を起こすことはほとんどありません。

ウイルスは水ぶくれの中に存在するため、通常の会話や咳・くしゃみを通じて周囲に広がる心配はほぼないとされています。

そのため、日常生活での接触だけで感染する可能性は極めて低いといえるでしょう。

 

ただし、患部を触った手でほかの人に触れると感染を広げる恐れがあるため、こまめに手を洗い清潔を保つことが大切です。

水ぶくれの中のウイルスに注意

水ぶくれが破れた際に出る液体に触れると、水ぼうそうにかかったことがない人に感染する可能性があります。

水ぶくれの中には帯状疱疹のウイルスが多く含まれているため、注意が必要です。

感染予防のため、水ぶくれの部分をガーゼなどで覆い、直接触れないように気をつけましょう。

妊婦・乳児・免疫力が低い人は特に注意

帯状疱疹を発症した人と接触する際、妊婦や乳児、免疫力が低下している人は特に注意が必要です。

 

水ぼうそうにかかったことがない場合、水ぶくれからウイルスがうつり、水ぼうそうを発症する可能性があります。

妊娠中に初感染すると胎児への影響が出るリスクがあるため、十分な配慮が求められます。

 

感染を防ぐためにも、帯状疱疹を発症したら患部をガーゼなどで覆い、周囲の人もできるだけ接触を避けるよう心がけましょう。

帯状疱疹の予防法

帯状疱疹は、ワクチンの接種や生活習慣を整えることで発症リスクを下げることができます。

免疫力を保ち、ストレスや疲労をためこまないことが大切です。

ここでは、帯状疱疹の予防法について具体的に紹介します。

帯状疱疹ワクチンの接種

帯状疱疹の予防には、ワクチンの接種が有効とされています。

50歳を過ぎると免疫力が下がりやすくなり、帯状疱疹発症のリスクが高まるため、ワクチン接種を前向きに考えてみるのがおすすめです。

 

現在使われているのは「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類で、不活化ワクチンは免疫力が低い人でも接種しやすいのが特徴です。

ワクチンを打つことで、帯状疱疹の発症を防いだり、万が一かかっても重症化を防げる可能性が高くなります。

副反応は比較的軽度なことが多く、接種後に一時的な腫れや発熱が見られる程度でおさまるケースがほとんどです。

 

ただし、体質や当日の体調によっては、予防接種を受けられない場合もあります。

まずはかかりつけの医療機関で相談し、自分に合ったワクチンの種類と接種の時期を選びましょう。

規則正しい生活で免疫力を保つ

帯状疱疹を防ぐには、日頃から免疫力を維持することが大切です。

睡眠不足や偏った食事、運動不足が続くと、体の抵抗力が落ちてウイルスの再活性化を招きやすくなります。

 

バランスのとれた食事や質のよい睡眠、適度な運動に加えて、入浴や深呼吸などでリラックスする時間をもつことも有効です。

生活リズムを整えることで、自律神経のバランスも整いやすくなり、心身の健康維持につながります。

無理のない範囲でできることから取り入れて、日々の体調管理を心がけましょう。

疲労やストレスをためすぎない

帯状疱疹を防ぐためには、疲れやストレスをため込まず、こまめにリフレッシュすることが大切です。

過労や精神的なストレスが続くと免疫機能が低下し、ウイルスが再び活動しやすい状態になります。

 

趣味の時間をつくる、軽い運動や入浴でリフレッシュするほか、人と話す・笑うといった気分転換も効果的です。

無理をしすぎないこと、自分のペースで過ごすことが、心と体のバランスを整える第一歩になります。

日々の小さな工夫が、帯状疱疹の発症リスクを下げることにつながります。

まとめ

帯状疱疹は、初期の痛みや皮膚症状に早く気づき、適切な治療を受けることで重症化を防ぐことができます。

発症を防ぐためには、ワクチンの接種や生活習慣の見直しが大切です。

バランスのとれた食事、十分な睡眠、ストレスをためない工夫など、日々の積み重ねが予防につながります。

年齢や体調によってリスクは異なりますが、誰にでも起こりうる病気だからこそ、日頃から体調管理を意識して過ごすことが大切です。

「もしかして…」と感じたら無理をせず、早めにかかりつけの医療機関にご相談を。

帯状疱疹への理解を深め、健康的な毎日を過ごすためのきっかけにしてみてください。

参考文献

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/shingles/index.html

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa5/q11.html

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000331

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