パラソルだけでは日焼けは防げない?研究が示した意外な結果

「日陰にいるから日焼けしない」は本当?

「パラソルの下にいるから大丈夫」
「日陰なら日焼け止めは必要ない」
「UVカットのパラソルなら紫外線を完全に防げる」

このように考えている方も多いのではないでしょうか。

夏になると、海やプール、公園、スポーツ観戦などでパラソルや日陰を利用する機会が増えます。
直射日光を避けることは大切な紫外線対策のひとつですが、
日陰に入ったからといって、紫外線を完全に避けられるわけではありません。

医学誌『JAMA Dermatology』に掲載された研究では、パラソルによる日陰とSPF100の日焼け止めを比較し、
実際の屋外環境でどの程度日焼けを防げるのかが検討されました。

その結果、パラソルだけを使用したグループでは、約8割の人に身体のどこか1か所以上の日焼けが確認されました。

今回は、この研究結果をもとに、なぜ日陰でも日焼けするのか、そしてどのような紫外線対策が必要なのかを分かりやすく解説します。

日陰なのに日焼けするのはなぜ?

紫外線は、必ずしも太陽から一直線に皮膚へ届いているわけではありません。

私たちが屋外で浴びる紫外線には、

  • 太陽から直接届く紫外線
  • 大気中で散乱して届く紫外線
  • 地面や水面などで反射して届く紫外線

があります。
パラソルや建物などの日陰は、太陽から直接届く紫外線を大幅に減らすことができます。
しかし、空気中で散乱した紫外線は横方向などさまざまな方向から届くため、
頭上にパラソルがあっても完全には防げません。

さらに、

  • 砂浜
  • 水面
  • コンクリート
  • 建物の壁

などで反射した紫外線が皮膚に届くこともあります。
つまり、「直射日光が当たっていない=紫外線を浴びていない」ではないということです。

紫外線には「UVA」と「UVB」がある

紫外線対策を考えるうえでは、UVAとUVBの違いについても知っておくとよいでしょう。

UVA

UVAは地表に届く紫外線の多くを占め、皮膚の比較的深い部分まで届きます。
長期間間浴び続けることで、下記などの光老化に関係すると考えられています。

  • シミ
  • しわ
  • たるみ

また、UVAは雲や窓ガラスを通過しやすいという特徴があります。

UVB

UVBはUVAと比較すると地表に届く量は少ないものの、皮膚に強い影響を与えます。
いわゆる「日焼け」で皮膚が赤くなるサンバーンの主な原因となるほか、
長期的な紫外線曝露は皮膚がんのリスクにも関係します。

紫外線対策では、UVAとUVBの両方を意識することが重要です。

研究では何を調べたの?

『JAMA Dermatology』に掲載された研究では、健康な成人81人を対象に実験が行われました。
参加者は、

  • パラソルだけを使用するグループ
  • SPF100の日焼け止めだけを使用するグループ

の2つに分けられました。
参加者は日差しの強い午前10時から午後2時までの時間帯に、約3時間半にわたって屋外で過ごしました。

その後、

など複数の部位について、紫外線による紅斑、つまり皮膚が赤くなる日焼けが起こっていないかが評価されました。

パラソルの下でも78%に日焼けが認められた

結果は非常に興味深いものでした。

パラソルを使用したグループでは、41人中32人、約78%に身体のどこか1か所以上の日焼けが認められました。
一方、SPF100の日焼け止めを使用したグループでは、40人中10人、25%でした。

つまり、この実験では、パラソルだけを利用するよりもSPF100の日焼け止めを使用した方が、
日焼けを防ぐ効果が高いという結果でした。

さらに重要なのは、研究で使用されたパラソルが、紫外線をほとんど通さない素材で作られていたことです。

それでも日焼けが発生したことから、紫外線がパラソルの生地を通り抜けたというよりも、
大気中で散乱した紫外線や周囲から反射した紫外線を受けたことなどが一因と考えられます。

「UVカット率が高いパラソルなら安心」とは限らない

日傘やパラソルを選ぶ際、「UVカット率」を確認する方も多いでしょう。
もちろん、紫外線を遮る性能が高い製品を使用することは重要です。

しかし、UVカット率は基本的にその生地を紫外線がどの程度通過するかを示すものです。

生地自体が紫外線をほとんど通さなくても、

  • 横方向から届く紫外線
  • 大気中で散乱した紫外線
  • 地面や水面から反射した紫外線

までを完全に遮ることはできません。

そのため、「UVカット率の高い日傘を使っているから、日焼け止めは必要ない」と考えるのではなく、
他の紫外線対策と組み合わせることが大切です。

日陰でも紫外線量はゼロではない

別の研究でも、日陰に届く紫外線量が検討されています。

日陰の種類や環境によって大きく異なりますが、樹木やパラソルなどによって直射日光を避けていても、
一定量の紫外線が届くことが報告されています。
特に、

  • 海や砂浜
  • プール
  • 河川
  • 公園
  • 屋外スポーツ
  • スポーツ観戦
  • キャンプやバーベキュー

など、長時間屋外で過ごす場合には注意が必要です。

「日陰だから大丈夫」と考えるのではなく、日陰は紫外線量を減らすための対策のひとつと考えるのがよいでしょう。

SPF100の日焼け止めでも完全には防げなかった

今回の研究では、SPF100という非常に高い紫外線防御性能を持つ日焼け止めが使用されました。
それでも25%の参加者には、身体のどこか1か所以上に日焼けが確認されています。

ここで知っておきたいのは、SPF100だからといって紫外線を100%遮断できるわけではないということです。

SPFは主にUVBによる日焼けをどの程度防げるかを示す指標であり、
数値が高くても完全に紫外線を遮断するものではありません。
また、実際の日常生活では、

  • 塗る量が少ない
  • 塗りムラがある
  • 汗をかく
  • タオルや衣類との摩擦で落ちる
  • 長時間塗り直さない

などによって、期待される効果を十分に得られないことがあります。

そのため、日焼け止めを使用していても、長時間屋外にいる場合には他の紫外線対策を併用することが重要です。

「SPF」と「PA」はどう選べばいい?

日焼け止めには「SPF」と「PA」という表示があります。

SPF

SPFは、主にUVBによる日焼けを防ぐ性能を示します。
屋外で長時間過ごす場合や紫外線の強い季節には、より高いSPFの日焼け止めが選択肢となります。

PA

PAは、主にUVAを防ぐ性能を示します。
「PA+」から「PA++++」などで表示され、「+」が多いほどUVAを防ぐ効果が高くなります。
海やプール、スポーツなど長時間屋外で活動する場合には、SPFだけでなくPAの表示も確認するとよいでしょう。
また、汗をかく場面や水に入る場合には、ウォータープルーフ性能なども考慮して選ぶことが大切です。

紫外線対策は「組み合わせ」が重要

紫外線を完全に避けることは難しいため、一つの方法だけに頼らないことが大切です。

一般的な紫外線対策として、

  • 日焼け止めを使用する
  • 帽子を着用する
  • 長袖など皮膚を覆う衣類を着る
  • サングラスを使用する
  • 日傘やパラソルを利用する
  • 日陰を選ぶ
  • 紫外線の強い時間帯の長時間の外出を避ける

などがあります。

今回の研究は「パラソル+日焼け止め」の効果を直接検証した研究ではありません。

しかし、一般的な紫外線対策としては、日焼け止めだけ、日傘だけという一つの方法に頼るのではなく、
複数の方法を組み合わせることが推奨されます。

例えば、日焼け止め+帽子+日陰といった形で、それぞれの対策を補い合うことが現実的です。

日焼け止めは「塗り方」も重要

高いSPFの日焼け止めを選んでも、塗り方が適切でなければ十分な効果を得られません。
特に、

  • 顔の輪郭
  • 首の後ろ
  • 手の甲
  • 足の甲

などは塗り忘れが起こりやすい場所です。
外出前に適切な量をむらなく塗り、汗をかいたときやタオルで拭いた後、
長時間屋外にいる場合などには適宜塗り直すことが大切です。

「朝に一度塗ったから一日中大丈夫」と考えず、活動状況に合わせて使用しましょう。

紫外線は皮膚にどのような影響を与える?

紫外線による影響は、夏の日焼けだけではありません。

長期間にわたり紫外線を浴び続けることで、下記などのリスクに関係します。

  • シミ
  • そばかす
  • しわ
  • たるみ
  • 光老化
  • 皮膚がん

紫外線による皮膚へのダメージは、長い時間をかけて蓄積していくと考えられています。

そのため、「日焼けすると赤くなるから対策する」のではなく、
将来の皮膚の健康を守るという意味でも、日頃から紫外線対策を行うことが重要です。

子どもの紫外線対策も大切

子どもは屋外で活動する時間が長く、夏休みにはプールや海、公園などで強い紫外線を浴びる機会も増えます。
小児期からの紫外線曝露は、その後の皮膚への影響にも関係するため、
子どもの頃から適切な紫外線対策を習慣にすることが大切です。

ただし、外遊びそのものを過度に避ける必要はありません。

  • 帽子をかぶる
  • 日陰で休憩する
  • 適切な日焼け止めを使用する
  • 紫外線の強い時間帯に長時間屋外にいない

など、無理のない範囲で対策を取り入れましょう。

今回の研究を見るときの注意点

今回の研究は、実際の屋外環境でパラソルと日焼け止めを比較した興味深い研究ですが、
いくつか注意点があります。

まず、対象者は81人と比較的小規模です。

また、特定の場所・時間帯・気象条件で行われた実験であるため、すべての日陰やすべての環境で
「78%が日焼けする」という意味ではありません。

日陰で浴びる紫外線量は、

  • 時刻
  • 季節
  • 緯度
  • 天候
  • 地面の状態
  • 日陰を作る物の大きさや形状

などによって変化します。

したがって、この研究から重要なのは「日陰にいると78%の確率で日焼けする」という数字そのものではなく、
紫外線を通しにくいパラソルの下でも、日陰だけでは十分な紫外線対策にならない場合があるという点です。

よくある質問

Q. 日陰なら日焼け止めは必要ありませんか?

日陰でも大気中で散乱した紫外線や周囲から反射した紫外線が皮膚に届きます。
特に長時間屋外で過ごす場合には、日陰を利用しながら日焼け止めなどの対策を組み合わせることをおすすめします。

Q. UVカット率の高いパラソルなら安心ですか?

パラソルの生地自体が紫外線をほとんど通さなくても、
横方向から届く散乱光や地面・水面などからの反射光まで完全に遮ることはできません。
パラソルだけに頼らず、日焼け止めや帽子、衣類などを組み合わせることが大切です。

Q. SPFが高いほど絶対に日焼けしませんか?

いいえ。
SPFが高い日焼け止めでも紫外線を100%遮断できるわけではありません。
また、実際の使用では塗る量や塗り直しの頻度によっても効果が変わります。

Q. 曇りの日なら紫外線対策は必要ありませんか?

曇っていても紫外線は地表に届きます。
日差しが弱く感じられる日でも紫外線を浴びる可能性があるため、
長時間屋外で過ごす場合には対策を意識しましょう。

まとめ

パラソルや日傘を利用して直射日光を避けることは、重要な紫外線対策のひとつです。

しかし、「日陰にいる=紫外線を浴びない」というわけではありません。

『JAMA Dermatology』に掲載された研究では、
紫外線をほとんど通さないパラソルを使用していたにもかかわらず、
パラソル群の41人中32人、約78%に身体のどこか1か所以上の日焼けが確認されました。
一方、SPF100の日焼け止めを使用したグループでは25%でした。

この結果からも、日陰だけに頼った紫外線対策では十分でない場合があることが分かります。
また、日焼け止めについても、SPFの高い製品を使用すれば完全に紫外線を防げるわけではありません。

大切なのは、

  • 日焼け止めを適切に使用する
  • 帽子や衣類で皮膚を守る
  • 日傘やパラソルを利用する
  • 日陰を上手に活用する
  • 紫外線の強い時間帯の長時間の屋外活動を避ける

など、複数の対策を組み合わせることです。

紫外線による皮膚への影響は、その日の「日焼け」だけではなく、
長期的にはシミやしわなどの光老化や皮膚がんとも関係します。

「今日は日陰にいるから大丈夫」と油断せず、生活スタイルや外出時間に合わせた紫外線対策を心がけましょう。

当院では、日々の健康管理についてのご相談にも対応しています。
紫外線対策をはじめ、夏の体調管理について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

参考文献 

・『JAMA Dermatology』掲載論文

パラソルと高SPFの日焼け止めの紫外線防御効果の比較:ランダム化比較試験

https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2597893?utm_source=chatgpt.com

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