マイコプラズマ肺炎とは、Mycoplasma pneumoniae（マイコプラズマ・ニューモニエ）という細菌が引き起こす呼吸器感染症で、子どもや若年層に多くみられます。

 

主な症状としては乾いた咳や発熱など、風邪とよく似ているため、一般的な風邪かどうかを見極めるには医師の診察が必要です。

 

ただし、肺炎になる方はマイコプラズマに感染した方のうちひとにぎりで３〜５％程度とされています。

 

本記事では、マイコプラズマ肺炎の感染経路や主な症状、検査方法、予防法などについて詳しく解説していきます。

 

気になる症状があれば早めに医療機関を受診し、早急に適切な治療を受けましょう。

 

マイコプラズマ肺炎とは？

マイコプラズマ肺炎とは、Mycoplasma pneumoniae（マイコプラズマ・ニューモニエ）という細菌が引き起こす肺炎の一種です。マイコプラズマはウイルスよりも小さく、気道に感染して炎症を引き起こします。潜伏期間は2〜3週間と長く、飛沫感染や接触感染で広がりやすいため、集団生活を送る子どもや若年層での発症が多いのが特徴です。また、マイコプラズマに対する免疫は数ヵ月から数年でなくなるため、4年ごとに大流行する傾向がみられています。以前はオリンピック病とも呼ばれていました。初期症状は軽いため風邪と勘違いされやすいですが、症状が長引く場合は早めの受診をおすすめします。

 

マイコプラズマ感染症の感染経路

マイコプラズマ肺炎の主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。感染者が咳やくしゃみをすると、マイコプラズマ菌を含んだ小さな飛沫が飛び散り、それをほかの人が吸い込むことで感染が広がります。また、感染者が触れた物の表面には菌が付着し、ほかの人がそれに触れた手で口や鼻に触れると接触感染が起こります。保育園や幼稚園、学校などの集団生活、家庭内やスポーツといった密接な接触が多い状況では感染が拡大しやすいため、特に注意が必要です。また、流行時期は秋から冬にかけて多く、気温が下がる季節に感染が増加する傾向にあります。お出かけのあとや飲食の前には石けんで手を洗い、感染を予防しましょう。

 

どんな症状が出る？マイコプラズマ肺炎の特徴的なサイン

マイコプラズマ肺炎の症状には、以下のようなものがあります。

 

• 乾いた咳が長く続く
• 夜間に咳が悪化する
• のどの痛み
• 38度前後の発熱
• だるさ
• 関節痛
• 頭痛
• 胸の痛み
• 消化器症状

 

マイコプラズマ感染症の症状の特徴は、長引く咳です。マイコプラズマに感染すると気管支が炎症を起こし（気管支炎）、咳が3〜4週間続くことが多いです。

 

診断方法は？マイコプラズマ肺炎の検査と診断の流れ

マイコプラズマ肺炎の症状は風邪とよく似ているため、一般的な風邪かどうかを見分けるためには医師の診察が必要です。病院やクリニックでは一般的な診察に加え、以下のような検査の結果をもとに確定診断を行います。

一般的な診察

病院やクリニックでは、まず問診や視診、聴診などで症状の確認を行います。症状が出始めた日付や、具体的な内容をメモに残しておくとよいでしょう。

検査

マイコプラズマ肺炎の確定診断にはさらに詳しい検査が必要です。一般的には、血液検査や喀痰（かくたん）検査でマイコプラズマ菌への抗体があるかどうかを調べます。マイコプラズマ菌に感染していると、抗体価の上昇が確認できるため、感染の有無を判断する手がかりになります。また、肺の炎症の有無を確認するために、胸部X線検査を行う場合もあります。

 

マイコプラズマ肺炎の治療法

マイコプラズマ肺炎の治療には、主に抗生物質が使用されます。マイコプラズマ菌は細胞壁をもたないため、ペニシリン系の抗生物質は効きません。そのため、マクロライド系やテトラサイクリン系、あるいはニューキノロン系の抗菌薬を処方されることが一般的です。治療期間中に症状が改善しても自己判断で中断せず、医師の指示通りにお薬を飲み切りましょう。また、発熱や咳などの症状をやわらげるために、解熱鎮痛剤などで症状を緩和する対症療法を併せて行う場合もあります。重症化を防ぐためには、早めの治療が重要です。気になる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。

 

マイコプラズマ感染症の再感染リスクと免疫の持続期間

マイコプラズマ菌に対する免疫は数ヵ月から数年で弱まるため、再び感染する可能性があります。また、4年周期で大流行する傾向にあることが知られており、再感染のケースでは症状がより重くなる場合もあります。このような特性から、再感染予防には手洗い・うがい・マスクの着用といった基本的な衛生対策が重要です。また、免疫が低下している時期や、集団生活を送る環境では特に感染のリスクが高まるため、感染予防に努めましょう。免疫力を高めるためには、十分な休息や睡眠、ストレスケア、栄養バランスのとれた食事が大切です。もし咳や発熱などの症状があらわれた場合は早めに病院を受診し、適切な治療を受けましょう。

 

マイコプラズマ肺炎を防ぐためのポイント

マイコプラズマ肺炎を予防するためには、基本的な感染対策を日常的に徹底することが重要です。

流水とせっけんによる手洗い

外出後や食事の前には、流水と石けんでしっかりと手を洗いましょう。マイコプラズマ感染症の主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。手に付着した細菌が体内に入るのを防ぐため、手洗いやうがいをこまめに行うことをおすすめします。

ドアノブや手すりなどの消毒

マイコプラズマに感染した人が触れた物には、菌が付着している可能性があります。ドアノブや手すり、リモコンなどの手が触れる場所は、定期的に消毒しておくとよいでしょう。学校や職場、家庭内で感染者が出た場合は、特にこまめに消毒することをおすすめします。

感染者との接触は最小限にする

感染を防ぐためには、すでに感染している人との接触を最小限にすることが重要です。ご家族の方が感染した場合は家庭内でもマスクを着用し、タオルや食器などの共有は避けましょう。食事のタイミングをずらしたり、寝室を別にしたりといった対策もおすすめです。

人混みを避ける

マイコプラズマの感染拡大時には、人が集まる施設やイベントは可能な限り避けて行動しましょう。人混みや換気の悪い場所では、感染のリスクが高まります。やむを得ず人の多い場所へ出かける場合にはマスクを着用し、こまめな消毒を心がけるとよいでしょう。

免疫力を高める生活習慣

感染予防や重症化予防のために、ご自身の免疫力を高めることも大切です。バランスのとれた食事を意識して、栄養をしっかり摂りましょう。特に、ビタミンAやビタミンCは免疫機能の強化に役立つとされています。また、十分な睡眠や適度な運動、ストレスケアも重要なポイントです。基本的な感染予防策に加え、生活習慣も改善していきましょう。

感染を広げないために

咳やくしゃみなどの症状がみられる場合はマスクを着用し、周囲への飛沫を防ぐことも重要です。マスクがない場合は、タオルやハンカチを口元に当てるようにしましょう。マイコプラズマ肺炎の初期症状は風邪とよく似ています。「ただの風邪だろう」と自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。

また、マイコプラズマが感染する確率は、一般的な風邪とあまりかわりません。インフルエンザやCOVID19より感染力は低いことが知られていますので過度に怖がることのないようにしましょう。

 

まとめ

マイコプラズマ肺炎とは、Mycoplasma pneumoniae（マイコプラズマ・ニューモニエ）という細菌が原因で起こる肺炎です。

 

潜伏期間が2〜3週間と長く、集団生活を送る子どもや若年層に多くみられます。初期症状は風邪とよく似ていますが、乾いた咳が長く続き、夜間に悪化するのが特徴です。

 

確定診断には、一般的な診察に加えて血液検査や胸部X線検査、迅速検査キットによる抗原検査などが行われます。

 

治療のメインとなるのは、抗生物質です。症状が消えても自己判断で治療を中断せず、医師の指示にしたがって薬を服用しましょう。

 

マイコプラズマ肺炎は飛沫や接触によって感染するため、こまめな手洗いやマスクの着用による予防が大切です。

 

咳が続く場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

 

参考文献

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mycoplasma.html

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/503-mycoplasma-pneumoniae.html

https://mews.hosp.mie-u.ac.jp/series/advice/2280/

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/yellow-fever/392-encyclopedia/503-mycoplasma-pneumoniae.html

 

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