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過敏性腸症候群(IBS)について

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過敏性腸症候群(IBS)とは?

下痢や便秘を繰り返すことが多い病気です。

慢性的な腹痛や不快感を伴い、便秘や下痢、あるいはその両方を繰り返す機能性消化管疾患です。食後に腸が過敏に反応し症状が出現します。

タイプにより以下のタイプに分類されます。

  • 便秘型IBS(IBS-C): 便が硬く、排便が困難で、排便回数が少ない。
  • 下痢型IBS(IBS-D): 便が柔らかく、水様便や頻回の排便が見られる。
  • 混合型IBS(IBS-M): 便秘と下痢が交互に発生する。
  • 分類不能型IBS(IBS-U): 便通の異常が明確なパターンに分類されない。

主に症状に基づいて行われますが、他の消化器疾患を除外するための検査も重要です。IBSの診断には、国際的に最も広く使用されている「ローマ基準」が用いられます。

ローマ基準とは?

  • 主症状: 過去3か月間に、週に1日以上の頻度で繰り返し起こる腹痛があり、その痛みが以下の2項目以上と関連していることが求められます。
    1. 排便に関連する: 痛みが排便によって改善する、または排便によって悪化する。
    2. 排便の頻度の変化: 痛みの発生とともに、排便の回数が増えるまたは減る。
    3. 便の形状の変化: 痛みの発生とともに、便の形状(硬さや柔らかさ)が変化する。

診断のために他の疾患でないことを確認する目的で大腸内視鏡検査・血液検査・便検査・CTなどの画像検査を行うことがあります。

IBSの治療は?

生活習慣の改善

  • 規則正しい食生活: 3食を規則的にとり、暴飲暴食や夜間の大食を避けることが大切です。ストレスを減らし、十分な睡眠と休養をとることも重要です。
  • 食事制限: 刺激物(高脂肪食、アルコールなど)は控えるようにし、FODMAP制限食が症状軽減に効果的があるとされています。FODMAP制限食に関しては後ほど説明いたします。

薬物療法

  • 消化管運動機能調節薬: 腸の運動を整えるために使用されます。
  • プロバイオティクス: 腸内細菌のバランスを整えるお薬です。
  • 止痢薬や下剤

心理療法

  • ストレス管理: 認知行動療法などが、ストレスを軽減することが重要です。
  • 抗不安薬や抗うつ薬: 不安やうつ症状が強い場合には、これらの薬物が使用されます。

運動療法

  • 適度な運動: 定期的な運動は腸の機能を改善し、IBSの症状軽減に寄与します。

どんな食事がいいの?

 FODMAP制限食

FODMAPとは、発酵性オリゴ糖、二糖類、単糖類、およびポリオール類の略で、これらは腸内で発酵しやすく、ガスや膨満感、下痢を引き起こす原因となることがあります。FODMAP制限食は、IBSの症状を軽減するために、これらの成分を含む食品を制限する食事療法です。

  • 高FODMAP食品:
    • オリゴ糖: 小麦、大麦、ライ麦、にんにく、たまねぎ
    • 二糖類: 牛乳、ヨーグルト、ソフトチーズ(乳糖含有)
    • 単糖類: りんご、洋なし、蜂蜜(フルクトース含有)
    • ポリオール類: さくらんぼ、プラム、キノコ、人工甘味料(ソルビトール、マンニトール)
  • 低FODMAP食品:
    • 穀物: 米、オート麦、キヌア
    • 野菜: にんじん、ほうれん草、ズッキーニ
    • 果物: バナナ、ブルーベリー、オレンジ
    • 乳製品: ラクトースフリーの乳製品、硬いチーズ
    • たんぱく質源: 肉類、魚、卵、豆腐

FODMAP制限食は通常、6~8週間行い、その後、個々の食品を少しずつ再導入して、どの食品が症状を引き起こすかを確認します。

食物繊維の調整

食物繊維は、便の性状を改善するために重要ですが、IBSのタイプに応じて適切な摂取方法が異なります。

  • 便秘型IBS(IBS-C): 水溶性食物繊維(オートムギ、果物、野菜など)の摂取が便の硬さを調整し、排便を促進します。食物繊維が豊富な食品には、オートミール、フラックスシード、アボカド、ベリー類などがあります。
  • 下痢型IBS(IBS-D): 一部の不溶性食物繊維(全粒穀物、ナッツ、種子、皮付きの果物や野菜など)は、腸内で水分を吸収しにくく、便の形状を安定させるため、症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

 特定の食物の除去

IBSの患者の中には、特定の食品が症状を引き起こす場合があります。これらの食品を特定し、除去することで症状の管理がしやすくなります。

  • 乳製品: 乳糖不耐症がIBSの症状を悪化させる場合があるため、乳糖を含む乳製品を避けるか、ラクトースフリーの乳製品を選ぶことが推奨されます。
  • カフェインやアルコール: カフェインやアルコールは、腸の運動を刺激し、症状を悪化させることがあります。これらを制限または避けることが推奨されます。
  • 脂肪分の多い食品: 高脂肪食は消化に時間がかかり、IBSの症状を悪化させる可能性があります。低脂肪の調理方法を選択し、脂肪分を控えるようにします。

食事の量と頻度の調整

  • 少量頻回食: 大量の食事を一度に摂ると腸に負担がかかり、症状が悪化することがあります。1日に3回の大きな食事ではなく、少量の食事を5~6回に分けて摂ることで、腸への負担を軽減し、症状の管理が容易になります。
  • ゆっくり食べる: 食事を急いで摂ると、空気を飲み込んでしまい、ガスや膨満感を引き起こすことがあります。食事はゆっくりと時間をかけて摂ることが大切です。

プロバイオティクスの摂取

プロバイオティクスは腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを改善することで、IBSの症状を軽減することが期待されます。ヨーグルト、味噌などの発酵食品が効果的です。

まとめ

IBSの食事療法は、個々の症状や反応に合わせて調整することが重要です。FODMAP制限食や食物繊維の適切な調整、特定の食物の除去、食事の量と頻度の管理など、多角的なアプローチを通じて症状をコントロールすることが目指されます。医師や栄養士と連携し、自分に最も適した食事療法を見つけることが大切です​

お薬での治療は?

過敏性腸症候群(IBS)の薬物療法は、患者の主な症状やIBSのタイプ(便秘型、下痢型、混合型)に応じて個別に調整されます。薬物療法は、食事療法や生活習慣の改善と並行して行われることが一般的です。以下に、IBSの薬物療法の詳細を解説します。

消化管運動機能調節薬

これらの薬は、腸の運動を調整するために使用されます。(トランコロン、イリボーなど)

プロバイオティクス

腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスを整え、腸内環境を改善するために使用されます。(ビオフェルミンなど)

セロトニン受容体拮抗薬と作動薬

セロトニン(5-HT)は、腸の運動や感覚に重要な役割を果たしており、その調節を行う薬が使用されます。

止痢薬

下痢型IBS(IBS-D)の患者に対して使用され、腸の運動を抑え、便の水分吸収を促進します。(ロペミンなど)

 抗コリン薬

抗コリン薬は、腸の筋肉を弛緩させ、痙攣を和らげることで腹痛を緩和します。(ブスコパンなど)

抗うつ薬・抗不安薬

IBSの症状がストレスや不安に関連している場合、低用量の抗うつ薬や抗不安薬が使用されることがあります。

漢方薬

IBSの治療において、漢方薬が使用されることもあります。(桂枝加芍薬湯、大建中湯など)

まとめ

IBSの薬物療法は、患者の症状やIBSのタイプに応じて異なります。効果的な治療を行うためには、食事療法や生活習慣の改善と組み合わせながら、適切な薬物療法を選択することが大切です。

1)Longstreth GF, et al : Functional bowel disorders. Gastroenterology 130 : 1480―1491, 2006.

2)Halder SL, et al : Natural history of functional gastrointestinal disorders : a 12-year longitudinal populationbased study. Gastroenterology 133 : 799―807, 2007.

3)Drossman DA : The functional gastrointestinal disorders and the Rome III process. Gastroenterology 130 : 1377― 1390, 2006.

7)Surdea-Blaga T, et al : Psychosocial determinants of irritable bowel syndrome. World J Gastroenterol 18 : 616― 626, 2012.

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