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紅麹問題 健康食品と医薬品について

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世間では紅麹が色々と問題となっており、会社の対応にも批判があるようです。今回は、紅麹の問題をからめて薬(医薬品)と健康食品との違いについて解説致します。

3月30日現在で、報道などで入手した情報をもとに記事を作成しており、今後の続報にて見解が変わる可能性がありますことをご了承ください。

食品とは?

食品衛生法でこのように定義されています。「食品とは、全ての飲食物をいう。ただし、薬機法に規定する医薬品及び医薬品部外品及び再生医療等製品は、これを含まない。」(食品衛生法第4条第1項)

簡単に言うと、口にいれるもので医薬品などでないものすべてを食品と定められています。

薬(医薬品)とは?

医薬品とは薬事法において以下にように定義されています。

1.日本薬局方に収められている物
2.人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
3.人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く)

薬(医薬品)になるには?

下の図のように、研究室で薬になりそうな化合物をみつけます。(基礎研究)

効果がありそうか、毒性は大丈夫そうかなどを何年もかけて確認します。(非臨床試験)

そこで、人間で使って効果も見込めるし安全に使えそうだとのデータがそろって初めてヒトに投与します。ヒトに投与を始めてからでも実際に承認されるまで3年〜5年以上かかることがほとんどです。ヒトに投与を始めてからでも毒性や効果不十分などで90%が承認されずおよそ1割程度しか医薬品として承認されません。

基礎研究で見つかった化合物が医薬品になる確率は3000分の1程度と言われています。

ここまで厳しい条件をくぐり抜けて承認された医薬品を我々は使用しています。もちろん、効果があるか承認されているわけですし、副作用も十分検討されて承認されています。また、医師が処方するので副作用もチェックしておりどの薬剤を使用するときにどのような副作用に注意すべきかもわかっているので安全に使用できないと判断した患者さんには使わないようにしています。

また、工場における医薬品の製造過程も厳密に決められています。ですので、異物が混入することはほとんどありません。

まれに製造過程が守られていない場合は行政処分が行われることもあり医薬品の信頼性は高いと考えられます。以前、製造過程を守らずに他の医薬品が混入した会社は、行政処分をうけ廃業したこともあります。

 

 

 

健康食品は?

いわゆる健康食品は、健康の維持や増進を期待して摂取されますが、明確な定義はありません。何の規制もありません。つまり医薬品で行った試験などは行われていません。ハムやチーズ等と同じ扱いです。サプリメントも同様です。

ただし、国が定めた基準を表示した食品を「保健機能食品」といい「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」「機能性表示食品」などは法的な規制があります。

下の図がわかりやすいと思います。

保健機能食品とは?

国が定めた安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が表示されている食品であり、栄養機能食品・特定保健用食品・機能性表示食品の3種類があります。問題となっているのは機能性表示食品に分類されます。

栄養機能食品とは?

人の生命・健康の維持に必要な特定の栄養素の補給のために利用されることを目的とした食品で、科学的根拠が充分にある栄養機能について表示することができます。栄養素の名称と機能だけでなく、「日本人の食事摂取基準」に基づいた一日の摂取目安量(上限・下限量)や摂取上の注意事項も表示する義務があります。ただし国が決めた基準に沿っていれば、許可や届け等なくして、食品に含まれている栄養成分の栄養機能を表示することができます。現在規格基準が定められている栄養素は下記のビタミンとミネラル、及びn-3系脂肪酸です

ナイアシン・パントテン酸・ビオチン・葉酸・ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ビタミンC・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK

亜鉛・カリウム・カルシウム・鉄・銅・マグネシウム

特定保健用食品(トクホ)とは?

からだの生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品で、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えたりするのに役立つ、などの特定の保健の用途に資する旨を表示するものをいいます。

健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、「コレステロールの吸収を抑える」などの表示が許可されている食品です。
表示されている効果や安全性については国が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官が許可しています。

機能性表示食品とは?

機能性を分かりやすく表示した食品の選択肢を増やすことを目的として、2015年誕生したものです。特定保健用食品と同様に保健機能を表示することができる食品ですが、特定保健用食品と異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではなく、事業者の責任で保健機能を表示します。その保健機能の有効性の科学的根拠や安全性などの情報を事業者が消費者庁へ「届出」を行うことが決められています。届け出られた情報については、消費者庁のウェブサイトで確認できます。

機能性の評価は、次の①、または②により行われることになっています。

①最終製品を用いた臨床試験
②最終製品又は機能性関与成分に関する文献調査(研究レビュー:肯定的な結果の研究論文だけでなく、否定的な結果の研究論文についても合わせて評価する)

機能性の評価を①、または②のどちらで行ったかによって、保健機能の表示が次のように異なります。

①の場合:「〇〇の機能があります」
②の場合:「〇〇の機能があると報告されています」

機能性表示食品の安全性は?

「届出をしようとする食品の安全性については、食経験及び最終製品に含有す る機能性関与成分と医薬品との相互作用等の観点から、届出者の責任において 自ら評価するものである。具体的には、まず食経験の評価を行い、食経験に関す る情報が不十分である場合には既存情報により安全性の評価を行う。食経験及 び既存情報による安全性の評価でも不十分な場合には、安全性試験を実施して、 安全性の評価を行う。」

と記載があります。

定義を確認すると、届け出のみで販売することができるようですし、食経験の評価を行い一般的に広く食べられている場合は安全性の評価は特に必要なくても問題ないようです。

評価するためには、やはりお金がかかりますので企業としてはなるべくしないでいいなら行わないですよね。

紅麹問題に関しての私見

今回の紅麹に問題は、プベルル酸が原因である可能性が示唆されています。

機能性表示食品などの制度に大きな衝撃を与えたことは間違いないでしょう。

確かに無添加だから、自然のものだからという言葉は非常に魅力的にうつりますが安全かどうかは認識する必要があります。自然界にも当たり前ですが多くの毒が認められます。

一方医薬品は、最初に述べたように多くの試験を行い安全性を評価して承認されていますし、どのような副作用があるかどのように対応すればよいかはわかっていることがほとんどですし、効果と副作用を比べたうえで承認されていますので比較的安全と言えるのではないでしょうか。

特定保健用食品(トクホ)は、医薬品ほどではないですが、高額な研究開発費用がかかり、国の審査を受けています。しかし、機能性表示食品では事業者が責任を持って商品を販売できるため、中小企業も市場に参入しやすくなっています。

事業者は、商品の販売を許可するために、安全性や効果に関する研究論文や臨床試験結果を消費者庁に提出する必要がありますが、信頼性は医薬品や特性保健食品(トクホ)と比べると低いと考えられます。また、特定保健食品(トクホ)の認可を受けられなかった商品が機能性表示食品として市場に出回っていることも現実としてあります。

このようなこともあり、機能性表示食品に関して制度や基準を見直すと発表されました。

 

3月30日現在で、報道などで私が入手した情報をもとに記事を作成しており、今後の続報にて見解が変わる可能性がありますことをご了承ください。

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