がん治療
がん治療は、手術、放射線治療、抗がん剤治療を柱として行われますが入院施設のある病院での治療が一般的です。ただ、自宅から離れていたり、忙しそうにしておりゆっくり相談できないこともあるようです。
手短に言うと、肺間質に炎症が起こる疾患の総称です。
難しいですよね。
肺間質とはどこでしょうか?
肺の一部を拡大すると真ん中の肺胞(酸素交換する小部屋)がいくつか集まったものになります。
酸素交換する部屋(肺胞)を拡大したものになります。
この真ん中に吸った息が取り込まれて酸素と二酸化炭素が交換されて排出されることになります。この図の水色の部分の中に毛細血管があり毛細血管の中の血液中の二酸化炭素が真ん中にある空気と触れ合って排出され、酸素が血液中に取り込まれるのです。
肺実質とはこの水色の壁の部分となります。
普通の感染症の肺炎は、真ん中の部分の炎症なので間質性肺炎は炎症が起こる場所が全く違うということになります。
普通の肺炎と同じように、発熱、咳、息切れなどですので症状だけでは区別がつかない場合が多いです。
まず第一に、胸部の聴診を行い独特のバリバリという捻髪音を聴取すれば強く間質性肺炎を疑います。
胸部レントゲン、血液検査、胸部CT、酸素飽和度、呼吸機能検査などを行い診断します。
間質性肺炎の場合は、これらの検査だけでは診断がつかないことも多く、気管支鏡検査(肺カメラ)を行うことも多いです。
さらに、診断がつかない場合は、胸腔鏡下肺生検(内視鏡で肺の一部の組織を採取する手術)を行い診断をつけることもあります。
大きく分けて原因不明の特発性間質性肺炎と何らかの原因のある間質性肺炎に分類されます。
原因不明であり特発性肺線維症、非特異的間質性肺炎、器質化肺炎など分類されていますが肺線維症かそれ以外の疾患かが問題となります。なぜならば、肺線維症は非常に予後の悪い疾患であることと10〜20%に肺がんを合併するためです。1)しかも、肺がんを合併した場合でも肺線維症のために抗がん剤や放射線治療など行うことが難しくなかなか難しい疾患です。
また、もう一つこの病気の怖いところは、急性増悪と言って急に呼吸状態が悪化することあります。数日から1週間以内に進行し、呼吸ができなくなり生命に関わることも多い病気です。年間に5%〜10%程度の患者さんが急性増悪を起こすと言われています。2)3)
怖い病気ですので肺線維症の場合はピルフェニドンやニンテダニブを投与し進行を遅らせることが多いです。
肺線維症かどうか見分けるために胸部CTが重要です。また、気管支鏡検査にて肺胞洗浄液や肺組織を調べることも大切です。
1)小倉 剛,近藤有好,佐藤篤彦,他:特発性間質性肺炎 における肺癌の合併とその臨床的特徴.日胸疾会誌 1997 ; 35 : 294―299.
2)Kondo A, Saiki S : Acute exacerbation in idiopathic interstitial pneumonia. In : Harasaka M, Fukuchi Y, Morinari H, eds. Interstitial Pneumonia of Unknown Etiology. Tokyo, Japan : University of Tokyo Press, 1989 ; 33―42.
3)吉村邦彦,中谷龍王,中森祥隆,他:特発性間質性肺炎 の急性増悪に関する検討ならびに考察.日胸疾会誌 1984 ; 22 : 1012―1020.
・リウマチ、シェーグレンなど自己免疫疾患(自分で自分の体を攻撃する病気、膠原病とも言う)による間質性肺炎
・じん肺など職業による異物を吸入したための間質性肺炎
・カビなどに対するアレルギーによって引き起こされる過敏性肺炎と呼ばれるタイプ
・薬剤や放射線によって引き起こされるタイプ
・その他(サルコイドーシスなど)
いずれのタイプであり、肺胞の壁に炎症が起こっており急激に悪化する場合は炎症を抑えるステロイドや免疫抑制剤が使用されることが多いですが原因により方針は異なります。例えば、薬剤性であれば原因薬剤を中止するだけで改善するものあります。
徐々に進行する場合は、抗線維化薬であるオフェブが用いられることもあります。徐々に進行するとは半年程度で呼吸機能が低下したり、レントゲンやCTで画像が悪化している場合などです。徐々に進行するタイプにオフェブが承認されたのは2020年と最近です。4)
4)Flaherty KR. et al.: N Engl J Med 2019; 381(18): 1718-1727
問題点としては、間質性肺炎の進行を抑える薬であり呼吸状態が良くなることはほとんどないことです。なので、症状を良くなることを期待して内服してもあまり変わらないことに不満を持つ患者さんがいらっしゃいます。
下の図のように呼吸機能を改善する効果はないようです。
5)Flaherty KR. et al.: N Engl J Med 2019; 381(18): 1718-1727
6)Richeldi L. et al.: N Engl J Med 2014; 370(22): 2071-2082.
7)Raghu G. et al.: Am J Respir Crit Care Med 2011; 183(6): 788-824.
8)Wells AU. et al.: Lancet Respir Med 2020; 8(5): 453-460.
次の問題点は副作用です。主な副作用は、食欲低下、吐き気、下痢、肝障害です。残念ながら半数以上の方に何らかの副作用が出現し2割程度の方が減量、休薬などが必要でした。
そして、最大の問題点は値段が高いことです。
オフェブは150mgを1日2回内服する薬剤で1錠6000円近くするため1日お薬代のみで12000円近く1ヶ月30万円以上かかり3割負担の方で9万円強、診察代、検査代など含めるとひと月に10万円を超える自己負担が発生します。
間質性肺炎の中でも特発性肺線維症など難病指定されているタイプであれば、自己負担がほとんどなく公費での治療を受けることができます。
高額医療など医療費に関する話は、長くなるのでまたの機会にさせていただきます。
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がん治療は、手術、放射線治療、抗がん剤治療を柱として行われますが入院施設のある病院での治療が一般的です。ただ、自宅から離れていたり、忙しそうにしておりゆっくり相談できないこともあるようです。