認知症のリスクとなる疾患とは?

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最新研究が示す「脳以外の病気」と認知症の深い関係

認知症は「脳の病気」と思われがちですが、近年の研究により、脳以外の全身の疾患や状態が、認知症リスクに大きく関与していることが明らかになってきました。

2025年に Nature Human Behaviour に掲載された大規模研究では、認知症の約3分の1が、脳以外の病気や身体の状態と関連している可能性が示されています。

この記事では

  • 認知症リスクと関連する疾患
  • なぜ「意外な病気」が上位に来たのか
  • 認知症予防のために今できること

 を、分かりやすく解説します。

 

認知症リスクに関与する主な疾患・状態

この研究では、200以上の疫学データを統合し「社会全体として、どの疾患が認知症負担にどれだけ寄与しているか」という視点で解析が行われました。

その結果、次のような疾患・状態が、認知症リスクと強く関連していることが示されました。

歯周病(最も影響が大きいとされた疾患)

今回の研究で、最も影響が大きいとされたのが歯周病です。

歯周病は口の中の病気ですが、実際には慢性的な全身炎症を引き起こす代表的な疾患と考えられています。

歯周病が認知症と関連すると考えられる理由には、以下があります。

  • 歯周病菌や毒素が血流に入り、全身に炎症を広げる
  • 炎症性サイトカインが脳に到達し、神経炎症を促進する
  • 血管内皮機能が障害され、脳血流が低下しやすくなる

さらに、歯周病菌の一部は、アルツハイマー病患者の脳内で検出されたという報告もあります。

歯周病は自覚症状が乏しく、長期間放置されやすい「静かな炎症源」である点が、認知症リスクへの影響の大きさにつながっている可能性があります。

 

肝臓病

慢性肝疾患や肝機能低下も、認知症と関連する可能性が示されています。

肝臓は、

  • 代謝
  • 解毒
  • 炎症制御

に関与する重要な臓器です。

肝機能が低下すると、慢性炎症や代謝異常を通じて脳の機能に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

 

難聴

加齢に伴う難聴は、認知症リスクの独立した因子として、以前から注目されています。

難聴があると、

  • 脳への情報入力が減る
  • 会話が負担となり、社会的交流が減る
  • 抑うつや孤立を招きやすくなる

といった影響が生じ、認知機能低下を加速させる可能性があります。

 

視力低下

視力低下も、認知症と関連する要因の一つです。

視覚情報は脳にとって重要な刺激であり、視力が低下すると認知的刺激が減少します。

また、外出や活動量の低下を通じて、間接的に認知機能低下につながる可能性も指摘されています。

 

糖尿病や心臓病が「意外と上位でなかった」理由

「認知症リスクといえば、糖尿病や心臓病では?」と感じる方も多いかもしれません。

今回の研究で評価されたのは、個人のリスクの高さではなく、社会全体への影響(寄与割合)です。

糖尿病や心臓病は、

  • 個々の患者では認知症リスクが高い
  • 一方で、早期診断・治療が比較的進んでいる

という特徴があります。

一方、歯周病や難聴、視力低下は、

  • 自覚症状が乏しい
  • 受診や介入が後回しになりやすい

結果として、長期間にわたり未治療のまま影響を及ぼす人が多いことが、順位に反映されていると考えられます。

 

「認知症の約3分の1が関連」の正しい意味

この研究で示された「認知症の約3分の1が、脳以外の病気と関連している」という表現は、誤解されやすい点です。

これは、「3人に1人は必ず歯周病などが原因で認知症になる」という意味ではありません。

正しくは、「これらの疾患を適切に管理できれば、社会全体として認知症発症を大きく減らせる可能性がある」という意味です。

この考え方は「人口寄与割合(Population Attributable Fraction)」と呼ばれ、予防医学では非常に重要な指標です。

 

認知症予防のためのセルフチェック

次の項目に心当たりはありませんか?

  • 歯科検診を1年以上受けていない
  • 歯ぐきから出血することがある
  • 聞き返しが増えた
  • 視力低下を感じているが放置している
  • 肝機能異常を指摘されたことがある
  • 糖尿病や高血圧の管理が不十分

これらはすべて、認知症リスクと関連が指摘されている要素です。

 

まとめ:認知症予防は「全身管理」から

最新の研究は、認知症は脳だけの問題ではなく、全身の健康状態の積み重ねであることを示しています。

  • 歯周病の管理
  • 感覚機能(聴力・視力)の維持
  • 肝機能や生活習慣病の管理

こうした日常的な医療・健康管理が、将来の認知症リスク低減につながる可能性があります。

 

当院からのメッセージ

認知症は、突然起こる病気ではありません。
多くの場合、全身の小さな異常が、長い時間をかけて積み重なった結果です。

当院では、

  • 生活習慣病の管理
  • 全身状態を踏まえた健康評価

を通じて、脳の健康を守る医療を大切にしています。

認知症リスクについて気になる方は、お気軽にご相談ください。

 

参考文献

  • Nature Human Behaviour. 2025; s41562-025-02392-2
  • 認知症と全身疾患に関する疫学研究レビュー

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